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兄弟メディアのギズモード・ジャパンより転載:

知らず知らずのうちに、日々環境に悪いことしちゃってたとは……。

新たな研究によると、1回洗濯するたびに70万本もの顕微鏡でしか見えないほど微細なファイバーが放出されていることがわかりました。ん~そう言われても量がピンとこないですけど、微細とはいえ洗濯は日々世界中で行なわれていることですから、チリツモで結局すごい量になってしまうということですよね。

何年もの間、科学者たちと環境保護活動家は「もし衣服を洗濯するというシンプルな行為が、ファイバーを放出する原因になっていたら?」と心配し続けてきました。その疑いの答えとなりうる調査結果を、イギリスのプリマス大学の研究チームがMarine Pollution Bulletinで発表したんです。

その調査結果によると、一般的な家庭用洗濯機で洗濯するたびに、70万本のファイバーが放出されます。そのファイバーは下水処理場のフィルターをすり抜けられるほど小さく、自然環境へ流れ出し、壊れやすい生態系を脅かしているんだとか。

ファイバーの大きさは、0.355mmですが、その小さなファイバーはすべての海洋生物の環境に問題を起こします。PCB、殺虫剤、モーターオイルなどの有害物質をスポンジのように吸収し、食物連鎖を毒で汚染してしまうのです。服をキレイにしていただけで、海洋生物が汚染されるなんて皮肉な話ですよね。また、今年初めには、ヨーロッパの研究者たちによって「ファイバーを接種した稚魚は、その影響で成長を阻害されたり、捕食者に対して虚弱になっている」と報告されました。

研究者たちは洗濯時に発生するファイバーと環境の問題を疑ってはいたけれど、決定的証拠はありませんでした。この研究結果を再度確認するため、プリマス大学のRichard Thopson教授と、博士課程の学生Imogen Napperさんは、洗濯の標準的な水温とされる30~40度の水で、洗剤および柔軟剤を使って合成繊維を洗濯。その排水を走査型電子顕微鏡で観察して、ファイバーの質量、量、サイズをチェックしました。

6kgのポリエステルとコットンの混合素材を洗濯した場合は約13万8000本、ポリエステル100%素材の場合は約49万6000本、アクリル素材の場合は約72万9000本ものファイバーが検出されました。今のところは、どのぐらいの量のファイバーがどのぐらい水域環境に影響するのか関係性がハッキリしていないので、今後もっと研究を進めていく必要があります。

既にアメリカではマイクロビーズの使用を禁止する法律が成立したので、洗顔料などのパーソナルケア製品にマイクロビーズが使用できません。しかし、同じように衣服に合成繊維の使用を禁止するというのは非現実的…。繊維会社の工夫、排水のろ過システムの向上など、別の解決策が必要だとThompson氏は提案しています。

研究者たちは、なぜ、ある一定のタイプの布地が、他の布地よりも多くのファイバーを放出してしまうのかを解明しようと研究を進めています。その答えが解明されれば、衣服のデザインや製造に影響を与え、消費者側の選択も変わってくるかもしれません。

また、洗濯機の回転速度によっては、衣服からファイバーがあまり出ないようになるかも? 洗濯機のフィルター機能で改善できるのでは?といったように、洗濯機自体がこの問題を改善できるように、合わせて研究を進めていく必要があるようです。

布地や洗濯機といったハード面からの改善は、もう少し時間が掛かりそうですが、今日から環境を守るお手伝いできる方法もあります。洗剤や柔軟剤を使用すると、さらに多くのプラスチック粒子が放出されるそうなので、必要以上の柔軟剤の使用を我慢してみるのもアリかもしれませんね。

Marine Pollution Bulletin
George Dvorsky – Gizmodo US[原文
Top image by Plymouth University’s Electron Microscopy Centre
text by junjun

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