一部のパブリッシャーは、Snapchat(スナップチャット)の「ディスカバー(Discover)」に夢中だ。「ディスカバー」は、デジタルメディアやTVネットワークが専用チャンネルを運営するSnapchatのセクションであり、目立つ場所に設置してあるので、膨大なオーディエンス獲得の可能性を秘めている。
一方、パブリッシャーやブランドのなかには、(あえて、あるいは仕方なく)無料の個人用アカウントという別の方法で、Snapchat上での露出を高めようとしているところもある。Snapchatの使い方を考えているパブリッシャーやブランドが知っておくべき、2つのやり方の主な違いを以下にまとめた。
一部のパブリッシャーは、Snapchat(スナップチャット)の「ディスカバー(Discover)」に夢中だ。
「ディスカバー」は、デジタルメディアやTVネットワークが専用チャンネルを運営するSnapchatのセクションであり、アプリ内の目立つ場所に設置してあるので、膨大なオーディエンス獲得できる可能性を秘めている。MTVがここで大々的にニュースプログラムを再スタートしたのもそのためだ。
一方、パブリッシャーやブランドのなかには、(あえて、あるいは仕方なく)無料の個人用アカウントという別の方法で、Snapchat上での露出を高めようとしているところもある。彼らはこうしたオーガニックアカウントを、ニュースルームやマーケティング部門の延長として使い、「ディスカバー」のチャンネルほど制作コストをかけずに運営している。
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Snapchatの使い方を考えているパブリッシャーやブランドが知っておくべき、ふたつのやり方の主な違いを以下にまとめた。
それぞれの仕組みは?
パブリッシャーやブランドは、個人ユーザーと同じようにSnapchatのアカウントを開設し、フォロワーを獲得したり投稿記事を共有したりすることができる。一方、「ディスカバー」は会員制クラブであり、個人用アカウントよりも制作コストがかさむ。「ディスカバー」の参加パブリッシャーは、インタラクティブな記事、写真、グラフィック、動画を投稿し、特別コンテンツで実験的な試みも行っている。
「オーガニックアカウントは、『ディスカバー』ほどうまくいっていない」と語るのは、Vox Mediaのプラットフォーム提携部門責任者を務めるクワイアー・シチャ氏だ。Voxは「ディスカバー」のチャンネルと、バーティカル向けの個人アカウントの両方を擁している。同氏は、「しかし、個人アカウントは本当に好きでやっていて、こちらで試行錯誤するのは楽しい。クールなやり方でブランドの『自己表現』をするにはもってこいだ」という。
パブリッシャーが「ディスカバー」に参加する方法は?
Snapchatは、「コスモポリタン(Cosmopolitan)」「BuzzFeed」「IGN」など、20のパブリッシャーと「ディスカバー」の契約を結んでいる。Snapchatの要求は厳しい。Snapchatと交渉した経験をもつ、とあるパブリッシャー関係筋は、「彼らは真剣だ」という。情報筋によると、「ディスカバー」の提携先が支出を求められる広告費には、半年で50万ドル(約5500万円)から年間500万ドル(約5億5000万円)まで、最低保証額が設けられている。5月には、テクノロジー業界情報サイト「ジ・インフォメーション(The Information)」がSnapchatの広告条件について報じている。
「広告費を出せないパブリッシャーは、『ディスカバー』に入る資格なし」というのが、Snapchatのスタンスだ。また、1日に配信するコンテンツの分量や、コンテンツの見た目についても、Snapchatは厳しいルールを設定している。
個人アカウントのメリットのひとつは、毎日「ディスカバー」にコンテンツを提供するというプレッシャーなしに、試行錯誤しながら自分たちのオーディエンスに対して何が効果的かを把握できることだ。両方をやっているパブリッシャーもある。個人アカウントを運営しつつ、Snapchatとの協力のもと、期間限定の特別「ディスカバー」チャンネルを開設するものだ。「バニティ・フェア(Vanity Fair)」は、アカデミー賞特集記事でこの方法を採用した。
「ディスカバー」チャンネルを運営するのはどのくらい大変?
「ディスカバー」に参加するパブリッシャーは、3人から10人以上の専任チームを置いている。一方、オーガニックアカウントを利用しているパブリッシャーやブランドは、もっと少人数の専任スタッフで仕事を回しているのが普通だ。たとえば、タコベル(Taco Bell)では6人のソーシャルメディアチームが、Snapchatだけでなく、Facebookやインスタグラムなど、ほかのプラットフォームのアカウントも運営している。
オーガニックアカウントにおけるコンテンツへの要求は「軽い」と、タコベルのソーシャルメディア責任者、ライアン・リムスナイダー氏は語る。「ブランドチームが自由に使え、Snapchatがどういうものかを身をもって理解できるし、過度に洗練されてもいない」
それで、結論は?
「ディスカバー」に参加しているパブリッシャーによると、チャンネルをもつには初期コストがかかるが、一度軌道に乗れば、確実な収入になるという。「ディスカバー」参加企業は、コンテンツと一緒に流れる動画広告の広告収入を、Snapchatと折半している。「ディスカバー」に参加していないパブリッシャーは、広告販売はできないが、スポンサーのために制作したブランデッドコンテンツの販売を認めるよう、Snapchatが変化することを期待している。
一部のパブリッシャーにとっては、「ディスカバー」の方が露出度が高く、1日100万ビューを上回る。「コスモポリタン」の平均閲覧数は1日300万だという。これに対して、オーガニックアカウントでは、数万人のフォロワーにリーチできることがわかっている。
先ほど紹介したタコベルのフォロワー数は25万だ。だが、5000万人以上が目にしたタコベルのスポンサード・レンズのような、膨大なリーチを獲得するには、費用がかかる。スポンサード・レンズの料金は70万ドル(約7600万円)以上になることもある。メキシコの祝日シンコ・デ・マヨに合わせて登場した、ユーザーの顔を巨大タコスに変えるアニメーション・レンズは、タコベルのヒット作になった。
リムスナイダー氏は、「Snapchatは真剣にとらえすぎないほうがいい。そういうものではないのだから」と述べている。
Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)