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以前ROOMIEで取材させてもらった、建築男子たちが自分たちでリノベーションしながら暮らす三茶ハウス。「三軒茶屋と目白、ふた手に別れて始まったプロジェクトで……」と話を聞いていたが、その分家である目白の一軒家にもお邪魔してみた。

三茶ハウスの初期メンバーと同じく、千葉大学都市環境システム学科出身の磯圭一さんが発起人として、このプロジェクトは始まった。全員初期メンバーの同居人・藤原直矢さん、今泉宏優さん、加藤雄一朗さん、眞鍋匠さん(インタビュー時不在)の5人で暮らす目白ハウスは、目白駅から歩いて5分ほどの住宅街にある。街にも目白ハウスにも、趣のある古さが残っていた。

便利な本棚をDIY
コーヒーを淹れる

「目白ハウス」はどうやって生まれたんですか?

シェアハウスで暮らす建築男子
おしゃれなシェアハウス暮らし

三茶ハウスと合わせた9名で、学生時代に「一軒家を好きにセルフリノベーションして住めたらおもしろそう」と飲み会で話していたのを、実行した感じです。僕が大学院を出て就職をするときに、普通の賃貸ではつまらないなと思って。三茶ハウスはDIYPで、目白ハウスは友人が働いていたこともあってR-STOREというWebサイトで、改装可能物件を探しました。

条件は、1人1部屋持てることと、メンバーの勤務先がバラバラなので立地の利便性が高いことでした。

古民家をリノベーション

2015年2月頃に三軒茶屋と目白に物件が見つかって、2組に別れて住むことになりました。三茶ハウスに比べて、目白ハウスは雨漏りがひどくて、床も朽ちてて……傷みが相当だったので、それでもいいというか、その方が燃えるメンバーが集まりました(笑)。ちなみにこの家は、僕のあだ名にちなんでなぜか「KARIAGEBANANA」とも呼んでいます(笑)。

最初はどんな状態で、どのようにリノベーションを進めたんですか?

古い一軒家の路地裏
建築男子のおしゃれなシェアハウス
ホームシアターのあるシェアハウス

とにかく古い日本家屋で、何度か改装・改築を繰り返しているらしく、最近ではおそらく3世帯が住める賃貸物件だったみたいです。トイレが3つずつありましたが、使える状態だったのは1つだけでしたね。現在リビングにしている1階の空間も、最初は真ん中に壁が立ってましたし、洗面台やキッチンとして使われていた水回りも数ヶ所に残っています。

古民家の味を残したDIY
古い家をリノベーション

まず実測から始めて、リビングの場所を決めた上で僕が図面を作成して、ある程度できたらリビングやキッチンなどの共有スペースからコツコツ作業を進めました。3ヶ月間は風呂なしで、1つの寝室に寝袋や簡易ベッドで雑魚寝してましたね。平日はそれぞれ仕事や学校、休日は作業という感じで。初めの1ヶ月は住人2人が学生だったので一番作業が進んで、家に帰るたびに「おお〜進んでる!」って感じでしたね。

シェアハウスのリビング
古い家の天井

間取りをすべて変えることになったので、まずは壁を壊して畳を剥がして……。畳の下が腐っていたいり、雨漏りもひどかったりで、たまに打ちひしがれました。みんな休日がバラバラだからなかなか進まないんですけど、一刻も早く住める状況にしたかったので、しばらくは休日に家の改装以外の予定を入れづらい状況でしたね(笑)。

期間やお金はどれくらいかかりましたか?

木の張りに照明のレールを
古民家の廊下

電気・ガス・水道のライフラインの工事は業者に頼んで、資材だけ自分たちで購入したので、わりと費用は抑えられているほうだと思いますね。個人の部屋の改装費用は、それぞれ自分持ちです。

リビングとキッチンが完成したのが、暮らし始めてから1年後、それから自分たちの部屋の改装に取り掛かりました。作業中の部屋は寝室に使えないので、他の部屋を寝床にしながら、1部屋ずつ進めました。最後の個室、今泉の部屋が完成したのが今年の2月です。

おしゃれにDIYした部屋
おしゃれにDIYした収納の豊富な部屋
かっこいいDIY部屋

部屋らしくなるにつれて、文明のありがたさを感じました。特に、フローリングを貼り終えた時の感動はすごかったです。「床でゴロゴロできる!」って。

建築を学んでいなくてもセルフリノベーションってできますか?

有孔ボードを使った壁面収納

下地までできていれば、可能だと思います。下地が既にあるとロフトを作ったり間取りの位置を変えたりはしづらいから、できることに制限は生まれますが、かかる時間と労力はだいぶ違います。インフラと外壁がきちんとしていれば、かなり楽ですよ!

それと、始める前に完成イメージを画に描いてみることをオススメします。

まあ、僕たちは義務でやってるわけじゃなく、こういう暮らしが楽しいので、ボロボロの状態でよかったんですけど(笑)。

床下に漫画収納をDIY
リノベハウス

僕たちも反省点がたくさんあって、契約が3年なので、終了まであと1年足らずなんです。ちゃんと住めるようになってからの期間が短くなってしまったので、例えば床は業者に頼むとか、時間短縮する策を考えればよかったですね。それと、実際に作業に入るまでの、余白の契約期間を交渉したらよかった……。

設計しながら作業するという感じだったので、きちんと設計をしてから作業に入れたら、もっとスムーズに進んだ気がします。とりあえず走り出したので(笑)。

住みながらのセルフリノベーション、どうですか?

映画館からもらった椅子に座る建築男子たち
レトロな窓ガラス

大学時代にもセルフリノベーションをして住んでいたので、次はガッツリやりたいと密かに思っていたんです。そういう意味では本当にガッツリできて満足です。みんなで考えながら作りあげていく過程も楽しかったですね。

あとは、現在作り途中のウッドデッキができたら一応完成です。あ、それと今シャワーしかないので、湯船がある風呂も作りたいですね。それに、以前は半年に1回壁の色を塗装で変えてたんですけど、今はそこまで手が回らなくて……。ちょっと落ち着いたら、またやってみようかな。

編集部ノート

三茶ハウスとはまた違った趣の空間だった目白ハウス。

スタートは同じでも、そこで暮らす人や、元々の物件によって、かなり個性が出るのがリノベーションのおもしろいところ。ただ「みんなで住みながら作業をする過程は苦労までも楽しい」という部分に関しては、三茶ハウスも目白ハウスも同じのようだ。なにより大切なのは、大変なときこそ楽しむ姿勢かもしれない。

彼らの作業はまだまだ続きそうだ。

暮らしのアイデアについては「みんなの部屋」をチェック
120㎡の一軒家をセルフリノベで再生する建築男子たち(目白)|みんなの部屋

Photograghed by Kenya Chiba

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